みなさんこんにちわ! TaKoKiです。
おいらは、薬剤師の資格を持っています。

同じ薬でも効く人と効かない人がいるのはなぜ?

みなさんは、普段から薬を飲みますか?

頭痛薬や風邪薬、酔い止めの薬なんかは比較的なじみがあるかと思います。

そんなお薬ですが、同じ薬でも人によって効果に差が出ることが多々あります。

それはなぜか?

理由はいくつかあるのですが、その一部をまず先にご紹介します↓

  • 薬は、そもそも100パーセントの効果はない状態で承認されている。
  • 遺伝子の違いによって効果に差が出る。
  • 腎機能や肝機能の状態によって差が出る。
  • 他の薬との飲み合わせ。
  • 食事・薬を飲むタイミングの影響。
  • 喫煙の有無、飲酒の有無。
  • プラセボ効果。
  • 症状の重症度が違う。
  • そもそも人によって効果の感じ方に差がある。
  • その他

とまぁ、理由はこんな感じでたくさんあります。

では、一つずつ解説していきましょう!

薬は、そもそも100パーセントの効果がない状態で承認されている

薬は、そもそも100パーセントの効果がない状態で承認されている。

さて、これはいったいどういうことなのでしょうか?

実際の例を見てみましょう。

抗アレルギー薬の一つに『クラリチン』というお薬があります。

このクラリチンの臨床試験のデータを見てみましょう↓

(2)臨床効果

1)成人における臨床試験

二重盲検比較試験を含む国内臨床試験において、通年性アレルギー性鼻炎及びアレルギー性皮膚疾患 を対象として、クラリチン® 錠 10mg を 1 日 1 回投与した臨床試験が実施された(表Ⅴ-1)。 通年性アレルギー性鼻炎に対して国内臨床試験 1~4)において、ロラタジン錠 10mg を 1 日 1 回投与した ときの最終全般改善率(中等度改善以上)は 52.7%(146/277)であった。 また、慢性蕁麻疹、湿疹・皮膚炎及び皮膚そう痒症に対して国内臨床試験 5~9)において、ロラタジン 錠 10mg を 1 日 1 回投与したときの最終全般改善率(中等度改善以上)はそれぞれ 77.7%(310/399)、 60.7%(105/173)、61.5%(56/91)であった。

バイエル薬品 クラリチンインタビューフォームより引用
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

ここで注目してもらいたいのは、改善率です。

通年性アレルギー性鼻炎に対する最終全般改善率は、52.7%となっています。

また、慢性蕁麻疹、湿疹・皮膚炎及び皮膚そう痒症 に対する最終全般改善率は、それぞれ77.7%、60.7%、61.5%となっています。

つまり、臨床試験の段階で、すでに3~4割くらいの人は、それほど効果を実感できていないということです。

ちなみに臨床試験というのは、薬の効果がちゃんとあるか? 重篤な副作用はないか? といったことを確認するための試験だよ。
臨床試験で効果が認められないと、薬を製造販売する許可が下りないんだよ。

この臨床試験のデータがすべてではないので、一概には云えませんが、この薬を飲んだ人のうち、10人に3~4人くらいは効果を実感できなくても、不思議ではない、と解釈することができます。

そして、これくらいの改善率でも、『この薬には効果がある』という判定がくだされ、実際に薬として市場に出ているわけです。

だから、薬というものは、そもそも100%の人に効果があるようにできていないのです。

だから、同じ薬を飲んでも効く人と効かない人がいるのは、当たり前のことなのです。

遺伝子の違いによって差が出る

人によって遺伝子が違うのは当然のことですよね。

では、遺伝子が違うと、なぜ薬の効果に差が出るのか?

それは、主に『酵素』が関係しています。

人間の体には、酵素と呼ばれる物質があります。

酵素とはタンパク質でできていて、体の中の化学反応を調節する、触媒として働くものです。

この酵素の量は、遺伝子によって制御されています。

酵素にはたくさんの種類があるのですが、中でも「CYP」と呼ばれる代謝酵素群が、薬に大きな影響を与えています。

CYPとは、シトクロムPの略です。

主な種類として、CYP450やCYP2D6などがあります(ここら辺は、専門的な話になるので飛ばしてください)。

これらの代謝酵素が、薬を分解したり、逆に効果の高い活性体へと薬を変換したりしているのです。

そして、これら代謝酵素の量が、遺伝子によって調節されているのです。

たとえば、特定の代謝酵素の発現量の少ない人が一定の割合でいます。その割合は人種などによって変わって来ます。

そして、特定の代謝酵素の発現量の少ない人のことを、プアメタボライザー( poor metabolizer )と呼んでいます。

このプアメタボライザーの人は、代謝酵素の量が少ないので、薬をうまく代謝することができずに、他の人よりも薬が効きすぎてしまうことがあるのです。

ちょっと、難しいかも……

簡単に言うと、遺伝子の違いによって、薬の効果は変わってくるよ。だって、あなたと私は違う個体なのだから、ということです。

腎機能や肝機能の状態によって差が出る

腎機能や肝機能。

これらも、薬の効果に大きく影響を及ぼす要素となります。

薬は、体の中に吸収されると、ほとんどの場合まずは肝臓で代謝されます。

また、腎臓は体内にある薬の排泄に関与しています。

つまり、肝臓や腎臓の機能が悪くなると、薬をうまく代謝できなかったり、うまく体外に排出できなくなり、効果が強まってしまう可能性がある、ということです。

実際、医療現場では、腎機能によって薬の投与量を減らすことがあります。

腎機能が悪い人に、腎排泄の薬を常用量で出してしまうと、効果が強すぎて危険だからです。

肝臓も腎臓も大事。

他の薬との飲み合わせ

薬には飲み合わせがあります。

たとえば、便秘薬で使われる『酸化マグネシウム』という薬と、ある種の『抗生物質』を一緒に飲むと、抗生物質の効果が弱まることがあります。

このように、他に飲んでいる薬がある人と、何も薬を飲んでいない人で効果に差が出る可能性があります。

飲み合わせには気を付けよう。

食事・薬を飲むタイミングによる影響

お薬には、食後に飲むと吸収率が下がるものがあります。

例を見てみましょう。

アレルギーのお薬に『アレジオン』というものがあります。

アレジオンのインタビューフォームにはこのような記載があります↓

(5) 食事・併用薬の影響 健康成人男子 16 名に,アレジオン®錠 20 mg を空腹時または食後に経口投与したとき,血漿中濃
度は,両投与でともに投与後約 3 時間で大値に達し,以後減衰した。食後投与での Cmaxは空腹時
投与の約 67%に低下し,AUC は約 62%に減少した 41)

アレジオンのインタビューフォームより引用
https://www.pmda.go.jp/PmdaSearch/iyakuSearch/

Cmaxというのは、最高血中濃度を意味する言葉で、これが下がる原因の一つとして、薬の吸収が下がっていることが考えられます。

また、詳しい説明は省きますがAUCも薬の効果を判定する一つの指標になります。それが、食事の影響で下がっています。

なので、この薬は空腹時に飲んだ方がより高い効果が期待できる、と考えられます。

6割近く下がってるね。

また、反対に、食後に飲むと吸収率が上がる薬もあります。特に脂溶性の高い薬は、食後に飲んだ方が吸収率が上がる場合が多いです。

どのタイミングで飲んだか? ということも、薬の効果に影響を与えることがあるのです。

いつのむの? いまでしょ!

喫煙や飲酒の影響

喫煙や飲酒も、薬の効果に影響することがあります。

喫煙することによって、ある種の代謝酵素が誘導されることがわかっています。

そのため、喫煙者はある種の薬が効きにくいことがあります。

逆に、薬を飲んでいた喫煙者が、急に禁煙することによって、今まで誘導されていた酵素の働きが弱まり、薬が効きすぎてしまうということもあるのです。

タバコを吸っている人は、禁煙するときは医師に相談しよう。

飲酒も薬に影響を与えます。

たとえば、解熱剤の一種である『アセトアミノフェン』という薬があるのですが、この薬は、お酒と一緒に飲むことで、肝臓毒性という副作用が現れやすくなります。

また、お酒は抗不安薬や睡眠薬の効果を高めてしまうおそれもあります。

プラセボ効果

みなさんは、『プラセボ効果』という言葉、ご存じですか?

簡単に説明すると、『思い込みが実際に体に影響を与える効果』ということです。ちなみに、プラセボとは偽薬を意味します。

たまに、「プラセボ効果って本当にあるの?」という話を聞きくことがありますが、

プラセボ効果は本当にあります。

何の効果もない偽薬を飲ませたのに、症状が良くなったということは、臨床研究ではよくあることなのです。

なので、薬の臨床データを取るときは、プラセボ効果を極力排除した形で、薬の評価をするようにしているのです。

なので、『この薬は効果がある』と思って薬を飲んだ人と、『この薬は効果がない』と思って薬を飲んだ人では、効果に差が出る可能性があるのです。

プラセボ効果、あなどれない。

症状の重症度が違う

同じ病気でも、人によって重症度は違います。

重症度が違えば、同じ薬でも効果の実感は変わってきます。

重症の人が使っても、あまり効果が実感できないかもしれません。

一方で、症状の軽い人が使えば、同じ薬でも効果をすごく実感できるかもしれません。

そもそもの重症度が違えば、同じ薬でも効果は変わるものです。

そもそも人によって効果の感じ方に差がある

身もふたもない話ですが、効果の感じ方は人それぞれで違います。

同じ効果だったとしても、人によってその実感を表現する語彙が違えば、効果に対する評価のニュアンスが変わってきます。

それに、性格によっても、感じ方は変わってきます。

辛抱強い人もいれば、我慢のできない人もいます。

そもそも、全く同じ効果を実感できる薬などないということですね。

十人十色。

その他

他にもいろんな要素が組み合わさって、薬の最終的な『効果』は決まるのです。

何か一つの要素だけで決まるわけではありません。

例えば、腸内細菌の違い、ピロリ菌の有無、グレープフルーツジュースやオレンジジュースを飲んでいる人と飲んでいない人、耐性がある薬の場合飲んでいる期間によって効果に差が出る、体重や表面積、体の水分量や脂肪量の違い……などなど。他にも要素はたくさんあります。

薬って複雑だね。

まとめ

あらためて、同じ薬でも人によってなぜ効果に差がでるのか? その理由をまとめます↓

  • 薬は、そもそも100パーセントの効果はない状態で承認されている。
  • 遺伝子の違いによって効果に差が出る。
  • 腎機能や肝機能の状態によって差が出る。
  • 他の薬との飲み合わせ。
  • 食事・薬を飲むタイミングの影響。
  • 喫煙の有無、飲酒の有無。
  • プラセボ効果。
  • 症状の重症度が違う。
  • そもそも人によって効果の感じ方に差がある。
  • その他
解説は以上です。
薬剤師TaKoKiが解説させていただきました!

記事一覧へ移る

YouTubeもやってます!

YouTubeもやってます! よかったら登録してね! ↓↓↓

『TaKa&TaKoKiのYouTubeチャンネル』へ移る。

おすすめの記事